Page 10 - SSTC - HP2C製品リーフレット
P. 10
RAIDアレイはドライブのコンテンツを再構築しますが、PanFSは
ファイルのコンテンツを再構築します。
PanFSは、ストレージノードの障害発生時にリニアにスケールア
ウトする再構築パフォーマンスを発揮してリカバリ時間を劇的に
短縮するため、大規模化に伴ってPanFSの信頼性が向上します。
イレイジャーコーディングによって
各ファイルは個別に最大限の信頼性を実現 ファイルが作成されて大きなファイルに成長すると、それら
PanFSはオブジェクトを使用してPOSIXファイルを格納 のオペレーションを管理しているディレクターノードがその
しますが、Amazon S3オブジェクトを使用したファイ ファイルを構成する個々のコンポーネントオブジェクトをラ
ル格納方式とは大きく異なります。PanFSでは、各ファ ンダムに異なるストレージノードに割り当てます。どのファ
イルをオブジェクトに格納するのではなく、大きなPOSIX イルに対しても、同じ障害ドメインに2つのコンポーネント
ファイルを「コンポーネントオブジェクト」の一つのセッ オブジェクトを格納することはありません。
トとして分割し、分割したそれらのコンポーネントに ただし、任意のファイルの格納に際してストレージノード
追加のコンポーネントオブジェクトを追加します。図 は完全にランダムに選択されるわけではありません。選択
の例では、イレイジャーコーディングのために「P」と「Q」 プロセスでは、ストレージノードのプールの容量と帯域幅
のコンポーネントオブジェクトを消失訂正符号として のバランスを保つために各ストレージノードの現在の容量
追加して、N+2コンポーネントオブジェクトのセットで 使用率を考慮します。アクティブキャパシティバランシン
ストライプ化します。POSIXファイル毎に複数のオブジェ グ(能動的容量バランス均衡)と区別するために、これを
クトを使用することで、並列ファイルシステムのパフォー パッシブキャパシティバランシング(受動的容量バランス
マンスの基盤であるファイルのストライピングも可能 均衡)と呼んでいます。
になります。
システムのスケールアウトに伴って信頼性が向上
大規模なPOSIXファイルは、複数のコンポーネントオ
ブジェクトとしてイレイジャーコーディングで格納さ どのようなシステムでも障害が発生する可能性があり、シ
れるのに対し、小規模なPOSIXファイルは3つのコンポー ステムが大規模化するに伴って複雑さが増し、全体的な信
ネントオブジェクトとしてトリプルレプリケーション 頼性が低下します。たとえば、通常のRAIDサブシステムで
(3重コピー)で格納されます。このアプローチは、小 は任意のHDDが故障する確率が稼働時間の経過とともに高
さなファイルでイレイジャーコーディングを使用する くなるため、デグレードモード(縮退モード)の時間が長
よりも高いパフォーマンスが達成でき、スペース効率 くなるに伴って、デグレードモードの間にRAIDサブシステ
も向上するために採用されました。ファイルへの最初 ム内の別のHDDが故障する確率が高くなります。同時に多
の書き込みが大規模なものでない限り、そのファイル くのHDDが故障状態になった場合はデータ損失が発生する
は小さなファイルとしてトリプルレプリケーションで ため、可能な限り短時間で完全なデータ保護レベルに回復
格納されます。小さなファイルが大きなファイルになっ することが復旧計画の重要な側面となります。
た場合は、イレイジャーコーディングフォーマットを
利用する方が効率的であると判断された時点で、ディ
レクターノードはファイルをイレイジャーコーディン
グフォーマットへと透過的に移行します。
10